2013年7月18日木曜日

【怪曲アワー】「Bomb A Head!!(feat.hy4_4yh)」/m.c.A・T」




 【怪曲アワー】「Bomb A Head!!feat.hy4_4yh)」/m.c.AT
20130718 MusicHeaps



1993年、日本語ラップの重大事項。ビブラストーンが『Smile!!』で未開のバンドスタイル・ヒップホップを切り開き、スチャダラパーが WILD FANCY ALLIANCE で半径5mのリアリティを描き出し、『OMNIBUS#1~玄人はだし』がジャンルのクロスオーバーの一歩を刻んだ年。そして、一発の爆弾が投下された時。

「ボンバヘッ!!

東京の男子高校生がサブバック代わりにCISCODMRManhattan Recordsのレコード袋を持つのがステイタス(本当にDJなのかは別として)だった時代、ブラウン管越しに耳に殴り込んできた「Bomb A Head!!」のインパクト。まだ世間では「語尾合わせればラップなんでしょ」なんて時代で「みんな喜ぶ/ちからコブ」なんてCMソングが呑気に流れていたころ。スチャダラはメジャー・デビューを果たしていたが、日本語ラップを聴くこと自体がエッジなことだった。そこに飛び込んできた「ボンバヘッ!!」。笑いのタネにしつつも、耳から離れない。気づけば口ずさんでいる。賛否両論を巻き起こしながら、m.c.ATのデビュー・シングル「Bomb A Head!!」は15万枚超を売るヒットを記録した。そんな状況になれば、当然カラオケで我先にとリクエストを入れる。が、全く歌えない。キーの高さ、歌パートからラップへのスライドなど、恐ろしく難しいのだ。そうして、m.c.ATへのリスペクトが自然と生まれていった。

それから20年。記念企画として全曲「ボンバヘッ!!」な『Bomb A Head!!生誕20周年記念盤』がリリースされ、時を同じくしてm.c.AThy4_4yh(ハイパーヨーヨ)がイベントで共演し互いの熱さにエールを交換し合うことに至る。そして、高野政所 a.k.a. DJ JET BARONが「Bomb A Head!!」リミックス企画にFUNKOTバージョンで応募、そのアガり具合に意気投合した三者が結びつき、オフィシャルに「Bomb A Head!!feat.hy4_4yh)」の配信リリースに至ったのである。これは感慨深い。その理由は二つあり、まず時代の超越感。以前高野氏が「ロボットレストランで『Bomb A Head!!』が流れていた!」というYAVAYもの同士の磁力を語っていたが、現在52歳のm.c.AT30代半ばの高野氏、そして20代のアイドルグループが、20年を超えてなお強烈な楽曲の熱度で結びついた奇跡。いや、運命。デカい例えを出すばらば、ナイル・ロジャースとダフト・パンクの邂逅のようである。そしてもう一点。上述のとおり、リリース当時「Bomb A Head!!」が真っ向クラブミュージック・フリークに響いていたかと言えば「否」だった。その一曲が、テクノ界の鬼っ子・レオパルドンを率いる高野政所を経由しFUNKOTと出会い、アイドル界の異端児hy4_4yhと共に新たな命が吹き込まれ、そして“YAVAY”(もしくは、やべー)を追求する思いが縁で、ヒップホップ界の最前線を走る田我流とm.c.ATが繋がったという事だ。「ドロ汗まみれ/ゆびはささくれ」(「やべ~勢いですげー盛り上がる/田我流」)と「汗にまみれ街に紛れ/まずは今宵ダンスもいいんじゃない」(「Bomb A Head!!」)というリリックのシンクロも、YAVAY

「カッコいいか悪いかじゃなく、アガるかヤヴァいかしか無いって事を、FUNKOTを通じてまず広めたいですね。でもそれは(音楽だけじゃなく)何にでも当てはまるって事を言いたい。カッコつける時代はもう終わりだよ、って。2013年は素直がキますね(笑)」。
4/18掲載のインタビューより、高野政所の発言。

この言葉の重要さは、日に日に増している。hy4_4yhのニュー・シングル「はなびーと」もそうだが、とにかくアガる/アゲるということの強さが必要なのだ。阿波踊り、サンバカーニバル、ねぶた……そんなイメージで、群舞の列が“YAVAY”神輿かついでやって来る!そんな情景が現実になってほしい。来るべき日への大きな契機にこの「Bomb A Head!!」はなるだろう。(文・原田竜太)

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